きーりぃ日記

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既存のアーキタイプ論が古くなってきてるので比較的新しいゲームであるシャドウバースでアーキタイプを再分類してみたら思ったよりもシンプルになった件。

 

アーキタイプとはデッキを構成する際の骨組みであり、原型のことを指します。

 

デッキの上限枚数が決まっている以上、構築における各戦略はトレードオフの関係になっています。

 

古くからあるカードゲームのMTGではもっとも大きな分類として

の三つで定義しています。

 

 

アグロは攻撃的なデッキ、コントロールは守備的なデッキ、コンボは変則的なデッキです。一般的にアグロはコントロールにに強く、コントロールはコンボに強く、コンボはアグロに強いという三すくみの関係になっています。

 

ただし、この分類方法は時代とともに古くなりだんだんと当てはまらなくなってきます。

 

そこで分類はさらに細かく派生していきました。

9タイプに分けるものであったり、6タイプに分けるものであったり。

 

時代とともにアーキタイプは変化してきました。また現在ではカードゲームのタイトルも増えました。ハースやシャドバなどのデジタルカードゲームも増えました。

 

本エントリーではこのアーキタイプ論を現在のシャドウバースに置き換えて考えた場合にどのような分類ができるかを考えます。

 

考えるべき要素

まず考えるべき要素について考察していきます。

 

シャドウバースは基本的にはライフを奪い合うゲームです。特殊勝利の手段はスパルタクスやセラフなどに限られます。

 

ライフを奪う手段は、ボードから発生する打点と効果やスペルから出る打点(バーン)に分かれます。

基本的に自分がターン中に行うべきことは相手のボードの除去と相手に返されにくい強いボードを立てることです。同時に様々なアドバンテージをとります。

 

また遅くとも10ターン前後でゲームが終わるようにデザインされているため、高コストになればなるほど強力な脅威を繰り出すことができます。想定されるリーサルターンが相手より早ければ有利ですがその分デッキ全体のコストが下がるためデッキパワーやリーサル手段は弱くなります。

 

各カードにはプレイスピードがあります。プレイスピードについては僕が勝手に定義して呼んでいます。カウントダウンアミュレットやリーダー付与効果のように次ターン以降に効果が出るもの。召喚酔いする通常のフォロワー。除去スペルや突進持ちなど盤面に対して直接打点を打てるもの。リーダーに直接打点を打ち込めるもの。この4種類で分類できます。呼び方は1234でも遅、普、速、即でもなんでもいいです。

 

アーキタイプはデッキの原型、雛形ですからデッキを組む際の方針である必要があります。もしくは逆に現存するデッキタイプがどのようなアーキタイプに分類されるかを分析するときに、ある程度分類表のどれかに分類できる必要があります。

 

リーサル速度で定義する

デッキを組む際に気にすることとして、まずそのデッキのリーサルターンがあげられます。これは絶対的な数字、〜ターンから〜ターンまでに勝利を目指すものを〜に分類すると言ったものではなく、環境に対する相対的なもので分類するのが妥当かと思います。

 

高速、中速、低速の3つで分類することにしましょう。

環境に対して最速、もしくはほとんどのデッキタイプよりもリーサルターンが早いと考えられるものを高速と定義します。

逆にほとんどのデッキよりもリーサルターンが遅くなるものを低速と定義します。

環境のリーサルターンの中央値あたりに存在し、対面や先攻後攻によってリーサルの後先が入れ替わるものを中速と定義します。

 

ボードを建てるほうか、崩す方か

強いボードを組み立てて相手のターンに返されないことによって有利に立とうとするデッキの雛形をアグロと定義します。

アグロはプレイスピードでいえば普と即を多く採用する傾向があります。これはプレイスピードが高くなればなるほど基本的にカードのパワーは落ちるためです。

場組を強くすることで有利になろうとするアグロは、基本的にカードパワーつまりスタッツが高かったり処理しにくいフォロワーを採用する傾向が強いです。プラスして、相手の最後のライフを詰めるための手段として即である疾走やバーンスペルを採用します。突進や除去スペルはあくまで相手の守護をどかしたり、場を整えたりするだけにとどめてボードを組むことを優先します。AOEなどは相手の打点を削ったり、リソース差を広げるための札なのであまり採用しないでしょう。足りない除去は進化で上から踏むことで解決しますがフェイスへの打点として切りたい場面も多いので悩みます。強いボードを立てておくことで相殺を相手が仕掛けてくるので除去が少なくても一方的に負けません。立てておいたボードが相手のアクションとトレードされるので立てたボードが相手への除去として機能する一方で、アクションの選択権は相手にあるので上から踏まれる、AOEで有利トレードされることによって不利になっていきます。相手のカウンターを予想しながら陣形を組み立てていく攻撃的なアーキタイプです。

 

相手のボードを崩すことに特化したアーキタイプをコントロールと定義します。突進や除去スペルを多く採用する傾向にあります。またアグロと違いフィニッシャーとなる脅威を後ろのコスト帯に頼ることができるため、序盤からライフを無理して削っていく必要がありません。相手の展開を見てからプレイを吟味できるため、上から踏む有利トレードやAOEなどでリソース差を広げることができます。リーサルターンが環境のデッキに対して低速になりがちなのでいかに除去や守護、回復を駆使してこちらのリーサルターンまで相手にとどめを刺されないかが重要になります。相手に合わせて立ち回る防御的なアーキタイプです。

 

また、これらの他に特定のカードの組み合わせにより爆発的な効果を生み出すコンボを主軸としたアーキタイプも定義しておきましょう。コンボはキーカードを揃えたり、構築の段階で特定のカードが強くなるように採用カードを固めるようなアーキタイプです。決まればとてつもない威力が出ますが、キーカードを引けなかったり、コンボを決めるために通常弱いカードも採用しなければならないなど構築に制限を受けるデメリットがあります。アグロもコントロールも相性のいいカード同士のシナジーはありますが基本的にはそれぞれ一枚ずつでもじゅうぶん活躍できるだけのカードパワーを持っていることを重視して採用カードを決めています。コンボの場合は単体のカードパワーを落としたとしてもシナジーによる爆発力を優先します。キーカードが揃わない、いわゆる事故や特定のパターンが決まっているためそれを阻害するメタに非常に弱いのが特徴です。

 

アーキタイプの種類

ここまでで高速、中速、低速。そしてボードの観点からアグロ、コントロール、コンボ。この3種類を掛け合わせて9種類のアーキタイプに分類できました。しかし、アグロと低速は絶対にありえないわけではないですが戦略として成立しにくいものになってます。またコントロールと高速も同じように相性が悪いです。このようなことを考えて成立しにくいものを省き以下の分類としました。()内に現行で定着しているアーキタイプ名を入れてあります。

 

高速アグロ(オールイン、フルバーン)

環境最速でライフを奪い切るコンセプトのアーキタイプ。キルターンが短いことで相手のデッキの高コストカードを死に札に変えることができます。

オールインはリソースを気にせず、すべてのカードを打点として並べる意味です。リソース札を挟まずコストとハンドを効率的に打点交換していくことでハイスピードでリーサルを目指します。ハンドは使い切らなければ意味がないのでリーサルターンにすべて使い切るイメージになります。

フルバーンも同じような構築ですが、疾走札と直接打点スペルを大量に採用した構築と捉えてください。

 

低速コントロール(コントロール、コンシード)

コントロールは明確なフィニッシャーがいて、そこまでリーサルターンを稼ぐようなプレイをするコントロール主体のアーキタイプです。フィニッシャーまで耐えることとフィニッシャーを引き込めていることが勝利条件になるのでサーチやリソース拡大も重要になります。

コンシードは明確な強力フィニッシャーがおらず、相手のリソース切れをひたすら待ちそこで押し勝つかリタイアしてもらうようなデッキです。

 

中速アグロコントロール(ミッドレンジ)

中程度の脅威をぶつけていくデッキです。序中盤から勝ちを狙いにいくこともでき、かつ相手の攻撃を防ぎながらフィニッシャーにつなぐことも可能です。構築段階でアグロ寄りのミッドレンジもコントロール寄りのミッドレンジ も作れるでしょう。

相手に合わせて幅広いプレイ、戦術が取れますが同時に何かに特化していない分、器用貧乏になりやすいです。

シャドバの標準的なデッキのアーキタイプでゲームの醍醐味を味わえます。

 

低速アグロ(ランプ)

さっき低速とアグロは相性が悪いっていったじゃないか。いえいえドラゴンなら可能です。序盤のボードを放棄してPPブーストを行い、クソデカ脅威を叩きつけまくれます。そう、ドラゴンならね。

 

中速低速コンボ(コンボ名、テーマ名)

コンボはその特殊性からまとまりがないのでだいたいコンボ名とかテーマ名がつきます。コンボ名ならエイラビショップなど。テーマ名なら機械やレヴィオンなど。

コンボによってデッキの性質が異なるため、採用の傾向はキーパーツとそれを支えるサポートカードが多くなるでしょう。

 

じつはこれくらいしかアーキタイプはありません。各アーキタイプの中間のようなデッキもあります。コンボを搭載したアグロなど。

あとはまれに環境上ダントツで強いデッキが出てくるときがあります。そういったデッキは相性によって勝率が変わらない、メタゲームが機能していないのでパーフェクトテンプレートで組まれます。mtgではエニグマと呼ばれてるらしいです。

まあシャドバの場合はDCGなのですぐにナーフが入りますが。

 

アーキタイプ分類を実践で生かすには

アーキタイプは抽象的で机上の空論に近いものがあります。しかし、新弾リリース直後などの新しいデッキを作るときには強いデッキを組む指針として役に立ちます。

アーキタイプは勝つためのデッキの雛形なので、勝つための道筋をアーキタイプから拾ってきてそれに沿ってカードプールからデッキを組むことで的を外しにくくなります。

 

また、既存の強いデッキをアーキタイプに分類してみることでデッキの理解度が深まり、調整もうまくいくかもしれません。